汗をかいても痩せないのは「太る汗」もあるから!

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医学博士五味常明先生によると

以上書いたようなことを見抜いていたのが医学博士五味常明先生です。

医学博士/体臭・多汗研究所所長、五味クリニック院長
五味常明(ごみつねあき)先生

1949年長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。形成外科学、精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら、外科的手法を組み合わせる「診療外科」を新しい医学分野として提唱、体臭・多汗治療の現場で実践。主な著書に『新・もう汗で悩まない』『デオドラント革命』『体臭恐怖』『読むだけで汗が少なくなる本』ほか。

 

医学博士五味常明先生によると、代謝をする時熱が出て、その熱を下げる唯一の方法が汗です!

つまり、代謝する→熱が出る→汗をかく→熱を下げるのサイクルとなります。

吉田さんはこのサイクルが正常に働かなくなって、「痩せる汗」をかけなくなっていたのです。

さて、私たちの身体で暑さを感じる場所は、皮膚と脳の二カ所です。
皮膚と脳には、それぞれ温度を感じる温度受容器のセンサーがあり、互いのセンサーで連絡をしあって汗の量が調節されています。温度が安定しているときは、たいていは脳のセンサーが感じる温度情報をもとにして、汗がコントロールされます。逆に気温が急に変化したときは、皮膚のセンサーがキャッチする情報が優先されて汗の量が調節されるのです。これはかなり高度なチームプレイです。具体的に、このセンサーがどのように働いているのか見てみましょう。

あなたは、夏の炎天下を歩いています。脳のセンサーが「汗を出しなさい」と発汗中枢に命令すると、皮膚の汗腺から汗が流れます。炎天下なので滝のような汗です。あまりにも暑いので、あなたは喫茶店に立ち寄ることにしました。喫茶店の中は冷房でキンキンに冷やされています。すると、皮膚の温度が急激に冷やされ、すかさず皮膚のセンサーが「汗を止めなさい」と脳の発汗中枢に命令します。ところが、脳のセンサーは皮膚ほど敏感に気温を感知しないので、まだ高温のままなのです。ここで皮膚のセンサーの指示通りに汗を止めてしまったら、たまったものではありません。そこで脳のセンサーは、「まだ暑い。汗を止めるな」という命令を発汗中枢に送ります。
ここで困ったのは脳の発汗中枢です。同じ組織からまるっきり反対の命令を送られて、混乱してしまうのです。ただし、基本的に脳の中枢には、「冷たい」という情報を優先して認知する傾向があります。そのため脳のセンサーが「まだ暑い」と訴えても、皮膚のほうで「涼しい」と言われてしまえば、そのほうが優先されて汗は一気に収まってしまうのです。
暑い場所から冷房の効いた環境に入ると、すぐに身体中の火照りが収まった気分になりますが、実は脳の中では、汗を止められて火照った状態が続いているのです。これを「うつ熱」といいます。
(第1章日本人が直面している身体の変化より)