40代以上の女性に謎の高血圧とは?

あなたは薬も効かない謎の高血圧があることをご存じですか?
しかも、40代以上の女性に多い高血圧なのです。
高血圧の原因は主に肥満や喫煙、塩分の摂り過ぎ、生活習慣の乱れ、遺伝などです。ところが、なかには思わぬ病が原因で起きている高血圧があるんです。だから、注意が必要です。
今回、特別にそんな病の正体に迫ってみました。
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40代以上の女性に多い高血圧

出典:adptnld.co.jp
女性は40代以降になると高血圧が急増します。
50代ではほぼ半数、60代で7割近くになります。
それは若い頃は、エストロゲンに血管を拡張させる効果があるから、男性に比べて血圧が低い人が多いのです。
だから、40代に入ってエストロゲンが減りだすと、血管の柔軟性が低下し血圧が次第に上がっていくのです。
これがいわゆる更年期高血圧と言われるものです。
ところが、40代以降は薬の効かない謎の高血圧があるから注意が必要です。
池田加奈子さん(69歳・仮名)の謎の高血圧
40代以上の薬の効かない女性に多い謎の高血圧を解き明かしたのは市原淳弘先生(東京女子医科大学病院の高血圧・内分泌内科主任教授)です。
市原先生は、年間5000人にも及ぶ患者と向き合い、どこに行っても治らない高血圧の原因を解き明かしてきた名医です。
治らない高血圧患者が駆け込む最後の砦となっています。
高血圧というと男性の病気と考えている女性が多いのではないでしょうか。若いころから健康診断ではたびたび「低血圧」を指摘されてきたために「私には高血圧の心配はない」と思っている女性が少なくないようです。ところがこのような女性たちが閉経期を迎え、生まれて初めて高血圧になるという事例が少なくありません。閉経期高血圧に詳しい市原先生によると「閉経期以降に高血圧に罹患している女性患者さんの数は同年代の男性患者さんとほぼ同数です。しかも、血圧の管理は男性よりも女性の方が難しいケースが多い」のだそうです。若いときは心配の必要がなかった女性こそ、一層の注意が必要なのです。
池田加奈子さんは、今では血圧が安定していますが、かつては上が240にまで上がったという危険な状態まで陥ったことがあるといいいます。
実に、30年もの間、薬をいくら飲んでも良くならない原因の分からない謎の高血圧に苦しんだのです。
ところが市原先生は、加奈子さんへの問診と触診、聴診器などから、ついに謎だった病を解き明かしました。
加奈子さんの「足の押してもすぐ戻る特徴的なむくみ」と「心臓の鼓動が遅い」という症状から、「血液検査であるホルモンの値を検査」し、ついに謎の病を解き明かしたのです。
その謎の病とは、「甲状腺機能低下症」だったのです。
加奈子さんは現在、甲状腺ホルモンを補う薬で治療した結果、現在はほぼ正常値以内に収まるようになったとのことです。
<甲状腺機能低下症>

引用:眞弓循環器科クリニック
甲状腺機能低下症は、新陳代謝を司る甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンの分泌量が著しく減少し、様々な症状を引き起こす病です。
甲状腺ホルモンが減少すると、細胞の新陳代謝が低下し、内部に余分なコレステロールなどの老廃物がたまり血管が硬く変化します。
そうなるとしなやかだった血管が硬く縮み、動脈硬化が進行していきます。
そのため全身に血液が上手くいきわたらなくなり、血圧が上がったり、だるさ、手足の冷えなどの症状が現れるのです。
甲状腺機能が低下している人は特に女性に多く、その患者数は男性の10倍以上にもなります。
特殊な血液検査を行わなければ発見できないため、潜在患者はもっと多いと考えられています。