日本人の「がん死亡者」はなぜ多いのか?
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日本人の食生活は
この点について、週刊現代は「食事」と「治療法」の2つの点からこの問題点に切り込んでいました。
アメリカでは食生活の国家的取り組みでがん死亡者数が減少したと言われています。
でも、日本食は世界的にも健康食と評価されるようになり、多くの日本人は肉食中心の欧米人よりずっと健康な食生活を送っているはずですが・・・。
だが、それは大きな誤解なのです。
上のグラフによると、がんが死亡原因の第1位になり、3人に1人ががんで死亡しているのです。
東京大学医学部附属病院放射線准教授の中川恵一医師は次のように言っています。
現代の日本人は、自分たちが思っているほど健康的ではありません。食生活の欧米化が進み、肉の摂取量は50年間で約10倍、脂肪分は約3倍にも増えました。逆に野菜や果物の消費量は減り、米国を下回っています。日本人は運動も少ないし、いまでは多くの米国人の方が健康的な食生活を送っているとすら言えます。
そもそも欧米人と日本人は体質が異なるので、同じ食事を摂っていても、日本人の方が糖尿病になる確率が高いです。糖尿病になると、インスリンというホルモンの血中濃度が高まりますが、これはがん細胞の増殖を促す作用があり、発がんリスクが2割ほど高まることが分かっています。
高齢化に加え、生活習慣の要因が重なってがん患者増えたと言えます。
日本人の体質にも問題があるのです。
でも、原因はこれだけではなかったのです。
驚くほど低い日本人のがん検診率
意外に思えますが、日本人のがん検診率は驚くほど低いのです。
例えば乳がんや子宮頸がん検診の受診率は、日本では30%未満ですが、米国では乳がんが72.5%、子宮頸がんは83.5%もあります。
これは患者自身の意識の低さもあるが、医者側にも原因はあるといいます。
本来は、がんにならないことが一番いいのですが、日本の医師は患者を『治す』ことにしか関心がありません。医者は難しい治療をするのが善で、それが本来の医者の姿だと思っているのです。検診をやっている医者は、地位が低く見られる傾向にあります。欧米では検診も医療の1つと考えられ、信頼も高い。その意味で、日本は、予防医学の後進国なのです。(中川医師)