【がん細胞は肉が好き?】アミノ酸とmTORの危険な関係

がん細胞の栄養源として糖分が注目されがちですが、アミノ酸やタンパク質も重要な役割を果たしています。
がん細胞は通常の細胞よりもブドウ糖を多く取り込む性質があり、これをワールブルグ効果と呼びます。
しかし、がん細胞は糖だけでなく、グルタミンなどのアミノ酸も代謝に利用できるため、糖質制限だけではがんの進行を抑えることは難しいです。
特に注目されるのが、mTORというタンパク質です。
がん細胞の増殖には「mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)」と呼ばれる酵素の活性が深く関わっています。mTORは、細胞の成長・増殖を促進する中心的な役割を果たす酵素で、栄養(特にアミノ酸)によって活性化されます。
研究によれば、アミノ酸の中でもロイシンやシステインがmTORの活性化に関与しており、これらは肉や魚、乳製品に多く含まれています。
マウスを使った実験では、タンパク質の摂取量を大幅に減らすことで、mTORの活性を抑制し、がん細胞の増殖を抑える効果が確認されています。
しかし、これらの研究結果を人間にそのまま適用するには注意が必要です。
過度な栄養制限は体力低下を招く可能性があるため、治療の前後に一時的にタンパク質制限を取り入れるなど、慎重な栄養管理が求められます。
日常生活においては、栄養の質とタイミングを意識することが重要です。
高タンパク・低糖質が健康的とされがちですが、がん予防には栄養のバランスを考慮した「メリハリのある食事管理」が求められます。
日本の食生活の変化もがんリスクに影響を与えているため、欧米化した食習慣を見直し、伝統的な日本食の良さを取り入れることが、健康維持に役立つでしょう。
日本人のがん死亡者数は2倍に!

出典:www.ncc.go.jp
日本はがん治療の技術において世界の先進国と肩を並べていますが、それにもかかわらずがん死亡者数が増加している現状があります。
ここ30年で日本人のがん死亡者数は2倍に増え、先進国の中で日本だけ、がんの死亡者数が増え続けているのです。グラフを見る限り女性の胃がんと肝臓がんくらいしか減っていませんね!
日本は世界でも顕著な高齢化社会(65歳以上の高齢化率が24.1%)であり、がんのリスクは年齢とともに高まるため、自然とがん死亡者数も増える傾向にあります。
しかし、他の高齢化が進んでいる国々と比較してみても、日本のがん死亡率の増加は異常な速さで進んでいます。
高齢化率の高いドイツ(21.1%)、イタリア(20.82%)、フランス(17.47%)ではがんの死亡者数は増えていないのです。
和田秀樹というお医者さんが次のように言っていました。
がんを怖がりすぎないほうがいい。がんは『早期発見・早期治療が重要」が世間の常識となっているが、65歳以上の高齢者は、がん治療によって健康寿命が短くなるおそれがある。
皆さんは、「がんはとても苦しい病気だ」と思い込んでいませんか。実は、がんは治療するから、いろんな意味で苦しい病気になります。60代で発症し、「治療をしなければ余命1年」と宣告された場合、手術を受け、抗がん剤治療を受ければ、2年は寿命を延ばせる可能性があるかもしれません。しかし、どんなに治療を頑張っても、おそらく、それ以上は余命を延ばせないでしょう。