〇〇歳から筋力が急降下すると「サルコペニア肥満」の危険性!
朝から体がだるい、すぐに疲れる、ペットボトルの蓋が開けにくいといった日常のささいな変化を感じたことはないでしょうか。階段の上り下りがきつくなったり、何もないところでつまずいたりする現象を、単なる年齢や運動不足のせいにして片付けている人は少なくありません。しかし、体の中ではもっと明確な変化が起きており、精神論だけで解決できる問題ではないと考えられます。
2024年11月に国際的な学術誌「Frontiers in Endocrinology」で発表された論文によると、女性の筋力低下には明確な原因が隠されています。閉経の平均年齢は50歳前後ですが、そこから5年ほど経過した55歳以降に筋力の数値が大きく変動するのです。具体的には、55歳を過ぎると男性の握力が23%低下するのに対し、女性は40.2%も減少します。さらに膝を伸ばす力も、男性の17.4%減に対して女性は28%も低下してしまうことが判明しました。女性の筋力が落ちるスピードは、男性の約1.5〜2倍にも達する計算になります。
この急激な変化を引き起こす大きな要因が、エストロゲンの減少です。日本産婦人科医会の基準値によれば、エストロゲンの分泌は20〜30代でピークを迎え、40代から急激に低下し始めます。閉経後には排卵期の最高値と比べて数分の一以下まで落ち込んでしまうため、筋肉の分解を抑えたり修復を助けたりする機能が正常に働きません。
サルコペニア肥満とは
出典:新型肥満.jp.net
皮下脂肪が筋肉を蝕むと「サルコペニア肥満」の危険性が高まります。サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量や筋力が減少する状態を指します。特に40代以上の女性のダイエットにおいて、多くみられます。それは筋肉が減少して脂肪が増えるタイプの肥満です。筋肉量は20歳をピークに減少し、30代、40代で激減します。
出典:TWR
女性はもともと筋肉量が少ない上に、40歳以降はエストロゲンの減少が重なることで、筋肉の中に大量の脂肪が入り込みやすくなります。閉経後の女性の筋肉内脂肪量は、若い世代の2倍に達するというデータもあるほどです。筋肉が霜降りステーキのように脂肪でぶよぶよになることで、本来のパワーを発揮できなくなってしまいます。
このような筋肉の質の低下は、サルコペニア肥満と呼ばれる厄介な状態を引き起こします。見た目では分かりにくいものの、肥満によるインスリン抵抗性が筋肉の合成を妨げ、エネルギー消費を低下させてさらに脂肪を蓄積しやすくする悪循環を生み出します。糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを高める原因にもなるため、注意が必要です。
また、脂肪が入り込んだ筋肉はエネルギーを作り出す効率も大幅に落とします。筋肉の細胞内にはミトコンドリアという無数のエネルギー発電所が存在し、酸素と栄養を使って体を動かすためのATP(アデノシン三リン酸)を生み出しています。エストロゲンはこのミトコンドリアを増やすスイッチの役割を担っているため、エストロゲンが減ると発電所の数自体が減少してしまうのです。体内の電力が不足した状態になれば、少しの運動ですぐに疲れたり、翌日まで疲れが残ったりするのは当然の結果と言えるでしょう。




