マイオカインは筋肉強化以外にもいろんな効能があった!
マイオカインは、筋肉活動によって分泌される特殊なタンパク質で、その効果はただ筋肉を強化するだけにとどまりません。
この物質は、血糖値を下げるという重要な役割も担っています。
筋トレを行うことでマイオカインが生成され、それが体内で血糖値を調整する作用を助けるのです。
最近の研究では、マイオカインが適切に分泌されない場合、体型に関係なく血糖値が上昇する可能性があることが明らかになりました。
これは、マイオカインが十分に分泌されることで、体内の糖の利用が効率的になるためです。
特に、筋肉を定期的に動かすことでマイオカインの分泌が促され、血糖値の安定に寄与することが示されています。
でも、マイオカインがうまく働かないと脂肪肝になり高血糖になるのです。
脂肪肝になり高血糖に!
肝臓の働きのひとつは、糖分を取り込んで溜め込むことにあります。肝臓が正常であれば糖分をしっかり蓄えることができ、血液中の糖分を少ない状態に保ち、血糖値を低く保つことができます。ところが、マイオカインの分泌不足で脂肪肝になると、糖分を取り込む能力が落ち、血液中の糖分が増え高血糖の状態になるのです。脂肪肝は自覚症状が全くありません。このため、そのまま放っておくと糖尿病の危険性だけでなく、動脈硬化や肝炎の危険性も高まります。脳卒中や心筋梗塞、肝がんの引き金にもなります。
以下述べるように、マイオカインは私たちの健康に多方面から貢献しており、その働きを最大限に活用するためには、日常的に筋トレを行うことが推奨されます。
毎日の運動習慣を見直すことで、マイオカインを通じて健康的な生活を送ることができるでしょう。
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マイオカインとは
マイオカインとは、筋肉の中にある物質の総称のことです。
myoが「筋」という意味で、kineが「作動物質」という意味です。
運動がもたらす多様な効果は知られていましたが、そのメカニズムは、ほぼ未解明でした。
こうした中、マイオカインのAMPキナーゼに「血糖値を下げる役割」があることを世界に先駆けて証明したのが藤井宣晴教授(首都大学東京)です。
インスリン以外の「血糖値を下げる物質」の発見は、実に90年ぶりの大発見でした。
◆専門研究分野;分子生物学
◆最終学歴・学位;筑波大学博士課程体育科学研究科 博士(体育科学)
◆研究テーマ;運動が糖尿病の予防・改善に貢献するメカニズムの探索、筋収縮による細胞内情報伝達の変容解析
◆研究キーワード;骨格筋 筋収縮 糖尿病 AMPキナーゼ インスリン 運動 分子生物学 遺伝子工学