糖尿病患者は認知症になる可能性が高い!
認知症は、多くの人が避けたい病気です。
ところが、65歳以上の10人に一人が認知症を患っているそうで、毎年認知症患者は増えています。
特に、糖尿病を持つ人々にとっては、そのリスクが顕著に高まることが知られています。
糖尿病患者は、認知症になる可能性が高いという研究結果が、久山町研究をはじめとする多くの調査から明らかになっています。
久山町研究からは、特に認知症と糖尿病は深い関係にあるということがわかりました。最新の認知症研究でも、糖尿病との深い関係が指摘されています。
Contents
糖尿病と認知証の深い関係が久山町研究からわかった
久山町研究では、1985年から65歳以上の高齢者を対象に、認知機能の調査が始まりました。
2011年に発表されたのは、1988年に健康診断を受けた人たちの2003年までの血糖値と認知症に関する調査結果です。
対象は、糖尿病の診断方法のひとつである経口ブドウ糖負荷試験を受けた60歳以上の人たちから、すでに認知症を発症していたり、インスリン治療を受けている人を除き、調査が継続できた1017人(男性437人、女性580人)。
調査期間中に認知症を発症したのは232人(男性79人、女性153人)で、女性に多く発症する傾向が認められました。
そして経口ブドウ糖負荷試験で正常だった人に比べて、糖尿病と診断された人の認知症は、アルツハイマー病、血管性認知症を含めて高率で発症していました。
統計に影響を与える因子を補正すると、糖尿病はあきらかに認知症を74%増やすことがわかりました。
さらに、糖尿病予備軍(耐糖能異常)と糖尿病を合算させたグループは、認知症を46%、アルツハイマー病を73%も増やしていました。
これらのことから、糖尿病や耐糖能異常が認知症を引き起こす原因と確定されたのです。
久山町研究とは
「久山町研究」は、1961年から福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に、九州大学で行われている疫学調査です。
疫学調査とは、Yahoo!辞書によると「地域や集団を調査し、病気の原因と考えられる要因と病気の発生の関連性について、統計的に調査すること」となっています。
九州大学の研究室は久山町研究について、次のように述べています。
久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団である。研究の発端は、日本の死亡統計の信憑性に疑問が投げかけられたことにある。当時、脳卒中はわが国の死因の第1位を占めていた。なかでも、脳出血による死亡率が脳梗塞の12.4倍と欧米に比べて著しく高く、欧米の研究者からは”誤診ではないか”との声が上がった。しかし、それを検証するための科学的なデータがなかった。そこで日本人の脳卒中の実態解明を目的として始まったのが久山町研究だった。
そして住民の方々のご協力の上で、亡くなられた方の8割近くを剖検し、正確な死因や隠れた疾病を調査しているとのことです。
住民を対象とした研究は50年間にわたり、最近ではがんやアルツハイマー病の発症と糖尿病の研究もなされていたのです。